1993 / Richard Lambert, Andrew Rilstone, James Wallis
むかしむかし、あるところに……
さて、どんな続きを想像しましたか?
お爺さんとお婆さんが住んでいたり、意地悪な姉と心優しい娘がいたり、森の中の小さな家に何匹かの動物が暮らしていたり、物語は世界中のいろんな場所で、たくさんの人達によって紡がれてきました。
でも今日は、あなたが物語をする番です。自分だけの、今まで誰も聞いたことがない、世界に一つだけのお話。
ゲームの名前は「Once Upon A Time」。英語の昔話で語り始めに使われる言葉です。日本で言う「むかしむかし」のことですね。
このカードゲームには、色々な言葉が書かれているたくさんのカードが出てきます。
プレイヤーはそれを一枚ずつ場に出しながら、そのカードに書かれた言葉を使って物語を進め、みんなで一つの物語を作っていくことになります。
カードには皆さんが外国の童話と聞いて思い浮かべるような、お姫様や魔女、羊飼いや妖精などが登場する古いヨーロッパの世界が描かれています。
一枚のカードに、一つの言葉。
職業や物の名前、動作や状態を表す言葉など、いろんなカードがあります。
細かいルールはありますが、基本的には、自分の番になったら手持ちのカードから1枚出して、その言葉を使って物語を進めます。
続けて出せるようでしたら、2枚、3枚と続けて出して、物語をどんどん進めてもかまいません。
例えば、「むかしむかしあるところに……」
「とても美しい姫がいました。」
「姫は城から出ることを許されず、いつも窓から外ばかりを眺めて暮していました。そこへある日、一羽の鳥が窓辺にやってきて、お姫様にこう言いました。」
どうでしょう。続きはどんなお話になるんでしょうか?
こうしてどんどん物語を進めていって、最後に自分の「結末」カードを出せたら勝ちです。
「結末」カードには、「彼は彼女を許し2人は結ばれたのでした」や「これがその王国の名前の由来となったのです」など、幸せな結末から意味深な結末まで、色々な物語の結末が用意されています。
もちろん、ちゃんと物語がその結末に自然に結びつくものでないと出せませんよ。
先ほどのお話の結末を見てみましょう。
「そして美しい姫がどこへ走り去ったのか、今日まで知る人はいないのです。」
さて、美しい姫はどんな物語を辿って、この結末に辿り着いたのでしょうか。
それは私にもわかりません。
その物語を作るのは、あなたなのですから。
ここからはオマケです。
ゲームのカードを使って、皆さんがよく知っている有名なお話を作ってみました。
例えば上の写真、何のお話かわかりますか?
左上から、一行ずつ右に読んでください。皆さんがよく知っている、ヨーロッパのお話です。
「Sleeping」な「Old Woman」。「Hidden」な「Wolf」。
このあたりのカードがポイントですね。
そうです、答えは「赤ずきん」ですね。
それでは、次の問題です。
ヨーロッパのお話とは、限りませんよ。
「River」「Island」「Fight」あたりがポイントでしょうか。
「River」に出てくる「Food」……。何の食べ物かわかりますか?
正解は……
「桃太郎」ですね。
それでは最後の問題です。
ちょっと難しいですよ。
男が「Enemy」に「A Chase」されている。
逃げた男は「Very Wise」に「People Meet」し、この世界について「Something Is Revealed」される。
この世界では、人々は「Prison」されて「Sleeping」している。
それを知った男は修行を重ね「Very Strong」になる。
そして立ちはだかる敵と「A Fight」する中で「The Death」しそうになるが、「Transformation」し、「Spell」を得て、新しい存在となる。
もうおわかりでしょう。
答えは「MATRIX」ですね。1作目の方です。
いかがでしたか?
さて、これを読んでいるあなたも、誰かが作った物語の登場人物かもしれませんよ。
現実のあなたは……。
めでたし、めでたし。」
- タイトル
- Once Upon A Time
- デザイナー
- Richard Lambert, Andrew Rilstone, James Wallis
- アートワーク
- Florence Magnin, Sophie Mounier
- パブリッシャー
- ATLAS GAMES
- 発売年代
- 1990年代
- プレイ人数
- 6人以上
- プレイ時間
- 30分くらい
- 対象年齢
- 小学校低学年から
- メカニクス
- コミュニケーション, ストーリーテリング