2008 / Bernd Brunnhofer
幼い娘へ。
誕生日に「あつまれどうぶつの森」をプレゼントした時、君はすごく喜んでいたね。それからずっと楽しそうに無人島暮らしをしているのを見て、お父さんも嬉しい。
島はすっかり賑やかになったね。住人も増えて、工事も進んで、たぬきちのお店も大きくなった。でもその間に、お父さんのゲームの棚も賑やかになったんだよ。君は気付いているかな。
昔はよく一緒にボードゲームをしたね。君が無人島に移住する前、お父さんが休みの日はいつも、オバケのゲームとか、鳥のゲーム、お寿司のゲーム、いろんなゲームをして、楽しかったよ。
君は負けると怒るから、いつも「てかげんしてね」って言ってたよね。それでいつも君が勝っていたけど、お父さん、本気でやってた時もあるんだよ。いつの間にか、君は強くなったね。
いつだったか、お母さんたちが用事でいなかった日、2人で回転寿司を食べに行ったね。それから公園で遊んで、帰ってからたくさんゲームをしたのを覚えているかな。魔女のゲーム、鳥のゲーム、赤とか青のゲーム、それから何をしたかな。きっと君が好きだった、キツネのゲームもしたはずだよね。
君があの時言った言葉を、お父さんは今でも覚えているよ。「きょうはじんせいさいこうのひだ」って。難しい言葉を覚えたら、すぐに使いたがって、その時も、そんな大袈裟な言葉をどこで覚えたんだろうと思ったけど、その言葉はお父さんにとって、本当に、そのままの意味だったんだ。
君がこれを読む日、君とお父さんの間には、どんなゲームがあるだろう。お父さんの棚は、今にも溢れそうなんだ。願わくば、こぼれたゲームがまた、君の足下に転がるといいな。そしたら、君は拾ってくれるかな……
……ほら、お父さんがこんな架空の手紙でセンチメンタルに浸っている間も、君はずうっと「あつ森」に夢中だ。
もうかれこれ2時間くらいやってるんじゃないかな? 1日1時間までっていう約束だったはずだよ。ちょっとテレビを消して、こっちに来てごらん。え? もう3時間やってるって? それなら尚更だよ。セーブはした? うん、それじゃあこっちにおいで。
実は、新しいゲームがあるんだ。いや、ルイージマンションじゃないよ。でも「あつ森」が好きな君はきっと気に入ると思う。見てごらん、これだよ。
これはね、無人島みたいな所で、素材を集めてDIYしたり、家を建てたり、住人を増やしたりするゲームなんだ。どうだい、「あつ森」みたいだろう。え? たぬきちのお店はあるのかって? たぬきちは……、多分いないけど、ほら見て、熊がいる。これはくまきちだね。とりあえず、箱を開けてみよう。
中身を出してみる? いや、何でって、いつも君は「じぶんでだす!」って張り切ってたじゃないか。まあいいよ。お父さんが出すね。おやおや、ずいぶん大きいボードが出てきたぞ。
このゲームはね、ここに描いてある山や森、川と草原、それから村の中で、素材を集めたり、いろんな物を作ったり、狩りで動物を捕まえたりするんだよ。動物を、うん、捕まえて、じゃなくて、そうだね、友達になって、肉を分けてもらうというか、うそうそ、冗談だよ。ご飯を分けてもらうって感じかな。動物は友達だもんね。
ご飯をもらう時は、この部分、人間とくまきちが遊んでいる絵の所に自分の村の住人を1人置くんだ。そしたら、その人がご飯をもらってきてくれるよ。サイコロを振って、大きな数が出たらたくさんもらえる。動物たちも、みんなゲームが好きなんだね。
素材が欲しい時は、ここに住人を置こう。ここでも同じようにサイコロを振ったら、素材がもらえるよ。
いろんな種類があるね。ええと、まずは木材。ん? 木材は柔らかいかって? ずいぶん細かいところを……、ああ、そっか、「あつ森」は木材の硬さが2種類あったね。うん、これは、柔らかい木材……、ええと、そうだね、硬い木材だよ。硬い方がいいよね。
それからこれは石で、こっちは金鉱石かな。この茶色いのは粘土だね。「あつ森」と同じで、このゲームでも金鉱石は取るのが難しくなってるよ。わかったわかった。出たら全部あげるよ。でもそれじゃ、ゲームにならないけどね。
この小屋はね、住人が2人で入ると、……1人増えるんだ。…………。
見て、こんな所に斧のマークがあるよ!
ここは斧を作る所だよ。斧を作っておけば、素材を取る時とか、狩りの……、ご飯をもらう時に、ちょっと有利になるんだ。そうだね、ご飯をもらうのに斧はいらないよね。多分、動物たちに斧をプレゼントして、代わりにご飯をたくさんもらってるんじゃないかな。うん。確かに、くまきちは斧を持てないね。でも、さるきちだったら使えるんじゃないかな。
これは何だかわかる? おお、よく分かったね、お米だ。お米を作っておけば、それだけ暮らしは楽になるよ。1日の終わりに、住人たちみんなが食べるのにじゅうぶんなご飯が無かったら、持っている素材が減ってしまうんだ。きっと動物たちに、素材とご飯を交換してもらいに行ってるんじゃないかな。大丈夫。誰も死なないよ。もし素材が無くても、ゲームの点数が減るだけだから。点数が減るのも嫌? そうだね。じゃあどうすればいい? うん。その通り。お米をたくさん作ればいいね。
「あつ森」でも、たぬきちのお店とか、博物館とか、服屋さんとか、色々あるよね。このゲームでも、素材を集めれば建物が建てられるんだ。建てれば建てるほど、点数がたくさんもらえるよ。……壁紙? 壁紙は……、多分葦の壁紙とかじゃないかな? あとは藁とか……。ナチュラルな感じの壁紙だと思うよ。
カードもたくさんあるね。これは「あつ森」で言ったら、そうだな、色んな役に立つ道具とか、家具とか、そんな感じかな。集めたらすぐに使えて素材がもらえたり、ゲームの最後に点数になったりするよ。え? amiiboカードとはちょっと違うかな。いや、お父さんamiiboカードってよく知らないんだけど、壺とか石板のamiiboもあるの?
そうやって素材を集めたり、道具を作ったり、建物を建てたりしながら無人島みたいな生活を送って、最後に一番点数が高かった人が勝ちだよ。うん、勝ち負けはあるよ。「あつ森」で一番魅力的な島を作るコンテストみたいな物だと思ったらいいんじゃないかな。
どう? このゲーム、「あつ森」みたいかな? うん、ああ、面白そうだけど「あつ森」ではない……。そうだよね。同じではない。そう、同じじゃないんだ。でも面白そうだよね。一回、やってみようか。キツネのゲーム? このゲームじゃなくて? わかったわかった。このゲームは2番目だね。お寿司のゲームと鳥のゲームも? 今から全部? そんなにできるかな。いや、大丈夫。時間はたっぷりあるよ。いくらでも。うん、いつまででも、お父さんは、いつまででも、大丈夫だよ。
さあ、そしたら、リビングのテーブルを片付けなきゃ。そんなにたくさん持てる? さっき言ってたのより増えてるよね。一番上の丸い缶が落ちそうになってるよ。これはお父さんが持つね。よし、行こう。今日は人生最高の日だな。いや、何でもないよ。足下に気を付けて。落ちたらお父さんが拾うから。
そう、君の足下に落ちたゲームは、いつだってお父さんが拾って、君に手渡すんだ。そしたら、こうやって、君は受け取ってくれるから。だから、心配しなくても、大丈夫なんだよ……。
- タイトル
- STONE AGE
- デザイナー
- Bernd Brunnhofer
- アートワーク
- Michael Menzel
- パブリッシャー
- Hans im Glück
- 発売年代
- 2000年代
- プレイ人数
- 4人まで
- プレイ時間
- 1時間くらい
- 対象年齢
- 小学校中学年から
- メカニクス
- ワーカープレイスメント, ダイスロール