【ボーイ・ミーツ・ゲーム】
未だ見た事のないゲームを求めて

 新しい企画をしようと思う。企画の名前は「ボーイ・ミーツ・ゲーム」という。それに当たって、何よりもまず初めにこれだけは断っておかなければいけないが、僕は「ボーイ」ではない。しかし、「ボーイ」は僕だ。

 本来であれば「僕」よりも「私」と言う方が聞こえがいいライフステージにいる身だが、僕は「僕」だ。なぜなら心はいつだって「ボーイ」だからだ。

 この企画の名前は、即物的に見ると正しくないかもしれない。だがイデアの世界から見たらどうだろう。全く何の齟齬も無い。ゲームを広げて遊んでいるのは、紛れもない、1人の「ボーイ」なのだ。

 そんなボーイが、見知らぬゲームと出会う。

 世界には、まだ見た事の無いゲームがたくさんある。もしかしたら、それはもう触れる事のできない場所にあるかもしれない。けれど、遠いどこか、知らない誰かの棚にある、未知のゲームに思いを馳せた時、そこにかけがえのないボーイ・ミーツ・ゲームの物語があるはずだ。

 それでは、簡単に企画の説明をする。

 世界のボードゲーム情報が集まる所、それはBoardGameGeekである。そこに現時点で登録されている12万を超えるボードゲームの中から、無作為に1つを選ぶ。

選び方は何だっていいが、例えば1~12万の数字の中から、パッと適当に思いついた数字の順位に登録されているゲームを選んでもいい。

 ゲームの画像は引用しない。BoardGameGeekの画像引用の権利関係を調べてもいないし、それに人の褌をこっそり借りて締めているようで尻心地が悪い。画像が必要な時は、簡単な手描きのスケッチでも使う事にする。

 そして選ぶに当たっての条件は、無い。

 初めは「画像がある」や「ルールが公開されている」などを条件にしようかとも思ったが、たまたまネット上に画像やルールが見つからなかったからと言って、それがそのゲームを取り上げるに値しない理由になるはずがない。

 例えゲームタイトルしか無くたっていい。タイトル以外がわからなければ、何も考えられないのか? ボーイの想像力は、そんなに薄っぺらな物ではないはずだ。

 タイトルも無い? そんなゲームが登録されているのかは知らないが、何か1つくらいは情報があるだろう。何? タイトルも何の情報も登録されていない? そんな馬鹿な話があってたまるか。いや、あってもいい。そんな理不尽が、あってもいいのだ。

 情報が無いから何だというのだ。そんな事は瑣末な問題だ。重要なのは、その何も無い空白のページに、目には見えなくても、確かに何かのゲームが存在しているという事なのだ。もし11万4562位のゲームに何の情報も登録されていなければ、その順位から、いくらでもゲーム内容を推測できるではないか。

 そういう訳だから、実際のところこれは、蝋の翼を付けたボーイが未知なるゲームに向かって飛んでいく、そんなボーイ・ミーツ・ゲームの物語だ。

 読む側の皆さんは、歌でも歌いながら、気楽に読んでもらえればそれで十分だ。