2018 / Ben Cichoski, Daniel Mandel
そう、昨日の一切れも内容の無い記事は、今日のこの記事への布石だったのだ。(そうに違いない)
『Legendary Encounters: The X-Files』
現在に繋がる海外ドラマブームのきっかけを作った、1993年にスタートしたFOXの海外ドラマ「Xファイル」。
当時、まだ僕は新芽のような瑞々しい子供の姿をしていたので、世間の流行などにはとんと目もくれず野山を駆け回り、そのドラマの上陸が実際どういう風に騒がれていたのかは知らない。
しかし幼いながらUFOや心霊などに人よりも興味を持ち、本屋に連れて行ってもらっては「宇宙人の死体写真集」などをせびる僕に、母がその時日本に入ってきたばかりのXファイルをレンタルしてきてくれたのだ。
案の定、僕は熱中し、程なく始まったテレビ放送も全て録画して自作のラベルを貼ってコレクションしていた。
レンタルビデオ屋で働いていた母が、後にレンタル落ちのVHS版をシーズン1、2まるごと買ってきてくれたのは、今でも実家の僕の部屋に飾ってある。(7泊8日とかのシールが貼ってあるが、それも良い思い出だ)
そんなXファイルとボードゲームが好きな僕が、今日は「Xファイルのボードゲーム」を紹介しようと思う。
昨日みたいにテンションだけに引っ張られて、脱水症状を起こしたヘチマのようなスカスカな記事を書くつもりはないが、多少の熱量は込められてしまうかもしれない。その点はご容赦頂きたい。
箱には映画版のようなロゴと、いやが上にも例の人物を思い出させる紫煙。
ルールブックは正方形の全28ページ。
Xファイルのボードゲームは海外でいくつか発売されているが、今回のゲームは「Legendary Encounters」という、エイリアンやプレデターなど他にもいくつかシリーズが出ているゲームのXファイル版だ。
ゲームシステムはデッキ構築型協力ゲームで、各プレイヤーは作中に登場する主要人物の一人となりつつ、自分のカードデッキをカスタマイズしながら、敵対組織や未確認生物などと戦い、最後に起こる人類の終末的事件に立ち向かっていくことになる。
プレイヤーが演じるのはこの5人。モルダー、スカリー、スキナー副長官、それから後半のシーズンで登場するドゲットとモニカだ。
デッキ構築ゲームは、商品価格を抑えるためかボードが存在しない場合が多いが、このゲームには立派なメインボードが付属する。
しかしこれは嬉しいサプライズだった。
紙のボードと思っていた物が、箱を開けるとクルクル巻きで入っている。「ん?」と思って取り出すと、なんとネオプレンっぽい素材の柔らかく厚みのあるプレイマットだった(巨大なマウスパッドを想像してもらいたい)。
個人的にこれはかなり嬉しい。硬いテーブルやボードはカードが張り付いて取りづらい場合が多く、僕自身もカードゲームをプレイする際はわざわざポーカーマットを敷いている。
柔らかいプレイマットはプレイ中の手触りもよく雰囲気も高まるので、もしまだ持っていない方は是非導入してみて欲しい。
僕のオススメは、ちょっと高いが切り売り式で厚手のポーカーマットだ。裏地がネオプレン系のラバー素材だと尚良い。
ボードにはそれぞれのカード置き場があり、メインとしては、上段の「The Shadows」、中段の「The Field」、下段の「The Bureau」を使うことになる。
「The Shadows」は日本語に訳すなら「暗闇」「暗部」というところか。ここは主に敵対組織や超常的な敵性存在など「隠れた存在」が、裏向きのカードとして各プレイヤーの手番毎に1枚ずつ配置される。
ここに追加されたカードは裏向きのまま1マスずつ右から左にスライドしていき、左から溢れた時点で「The Field」に放たれ、存在を現すことになる。
つまり素手で肝臓を抉り出すあの人や、下水道在住のあの人、話し相手の心臓を止めるトーク力を持ったあの人など、ずっと闇に潜んでいてくれていい人達が、順番にみんな顔を出して来るわけである。
「The Field」は「野に放たれている状態」つまり「現場」のような意味合いかと思うが、ここでは「作戦地域」と訳しても良いかもしれない。
ここに出てきたカードはすぐに表向けられ正体が明かされ、敵性の存在であれば戦うことになり、数は少ないが情報提供者や協力者であればプレイヤーの助けとなってくれる。
また、「Lead(手がかり)」のカードが現れることもあり、そのカードを使用すると「Evidence(証拠)」カードを集めることができ、ゲーム終盤に現れる終末カードを弱体化させることができる。
「The Bureau」は「局」という意味なので、ここでは連邦捜査局(FBI)を表していると思われる。ちなみに「FBI」のBは「Bureau」のBだ。
ここにはプレイヤーのデッキに加えられる心強い味方カードが配置される。The Shadowsと同様に裏向きで配置され、必要コストを支払い表向きにした後で、さらにコストを支払ってデッキに加えることができる。
そうして敵に対処しながら必要な証拠を集め、プレイを進めていると、最後に世界の終末を予見する「The End Game」カードが公開される。
このゲームの目的は、その「The End Game」に打ち勝つことだ。
ゲーム中に「Evidence」をより多く集めているほど、「The End Game」の絶望的効果が弱体化する。どんなに結束したチームであっても、完全無欠の悪に立ち向かうのは困難なのだ。
果たして、モルダー達は立ちはだかる巨悪より世界を救うことができるのか?
ところでこのゲーム、一人プレイもできる。
一人の場合は好きな捜査官を一人選んでプレイすることになるので、例えばスキナー副長官が一人で悪に立ち向かうという、誰が得するのかわからないハードコアなプレイも可能だ。
今後も絶対にリリースされることは無いであろう、スキナーが孤軍奮闘して陰謀に立ち向かうスピンオフ作品……。是非あなた自身の手で編み上げて欲しい。
- タイトル
- Legendary Encounters: The X-Files
- デザイナー
- Ben Cichoski, Daniel Mandel
- アートワーク
- –
- パブリッシャー
- Upper Deck Entertainment
- 発売年代
- 2010年代
- プレイ人数
- 5人まで
- プレイ時間
- 1時間くらい
- 対象年齢
- 中学生以上
- メカニクス
- デッキビルディング、協力